幸せになりたいけど 頑張りたくない

実家暮らしアラサー女のブログ。「言語化能力を鍛えるため」という大義名分で更新されるが中身はくだらない。たまにコスメ・映画レビュー。

「行ってきます」の代わりに

今朝、メイクをしている最中に

「メイクの手順とメイクしながら考えていることを書きたい」

と思った。恐らく昨日読み終えた「だから私はメイクする」の影響だ。タイトル通り、各々がメイクする理由や出勤時の服装のこだわりなどについて書かれている匿名エッセイ集だ。メイクや服装へのこだわりを知るだけで、その人のことが愛おしくなるとてもいい本だった。

なので私も、私がメイクする理由を知りたくなったのだ。

 

AM 07:45。

私は大体この時間にメイクを始める。

ボビイブラウンのチークブラシが飛び出ているミラショーンのバニティポーチを、洗面台の鏡横の洗濯機の上に置く。数日メイクしなかっただけで手順をすべて忘れてしまったかのように思う。えーとまずはなにをするんだっけ。

バニティポーチの中をのぞきこむ。パウダーやらチークやらがごちゃごちゃになっていて、今見えているコスメをどかさないと下に何が入っているのかわからない。少し前にポーチの中を整理したのにもうこの有様だ。どうせ使わないものは他のコスメの下敷きになってしまうのだから、案外このままの方が効率的かもしれない。

この時期メイクの前にすることは花粉対策だ。メイクをした後はできるだけ鼻をかみたくないので、ハナノアで鼻うがいをする。寒い時期にやると体の芯まで凍るような思いをすることがあるが、外で鼻をかむ回数を少しでも減らしたい私にとって欠かせない。

鼻うがいを終えてようやくポーチの中に手を伸ばす。適量のアレルバリアエッセンスBBを伸ばした手のひらを、垂直に顔に当てていく。摩擦は美肌の大敵なので少しでも刺激になるような塗り方はしない。「花粉から肌を守る」という謳い文句がパンフレットに踊っていたが、正直効果はわからない。頼れるなら頼りたい、だから頼る。それだけ。SPF40・PA+++と高機能なので、顔面の紫外線対策はこれでオシマイ。

この時期いつもマスクをつけていることを考えると、ファンデーションは崩れやすいリキッドよりパウダーの方がいい。すぐにパウダーファンデーションに手が伸びないのは、スポンジを洗っていないことを思い出したからだ。しかし替わりのスポンジはない。仕方なくポーチからコスメデコルテのパウダーファンデーションを出す。信頼している美容ライターが絶賛していたので買ったものの、今はパウダーなのにツヤ感が出ると話題のアルビオンのパウダレストが気になっている。使い切ってから新しいものを買うつもりでいるが、手持ちの化粧品を使う度他のコスメが頭をよぎるなら、もう買い換え時かもしれない。

汚れたままのスポンジをファンデーションの上で滑らせる。美容部員さんに「下を向いている毛穴に逆らうように、下から上にのせるときれいに毛穴をカバーできる」と教えられた通り顔の下から上へ。頬の赤みはこれで事足りるものの、頬骨の上にあるシミやニキビ跡までは消せない。どうせ塗り重ねてもマスクするんだし、と適当に切り上げる。マスクをしていようがいまいが、私の顔をちゃんと見ている人なんていないからいつも適当で大丈夫なんだけどね、と自意識が語りかけてきて辛い。

ファンデーションの後はいつもなにしてたっけ、と鏡の中の自分の肌の仕上がりを見ながら考える。アイライン?いやいやまだ早い。その前にパウダー仕込まなきゃ。パウダーのせるならもうチークものせるか。

この時点でその日のメイクの色みを大体決める。今日はブラウンでまとめたナチュラルメイクにしたいから、チークは血色感を出せるピンクか赤がいい。ならクリニークのピーチポップか、いや今日はキャンメイクのアンティークローズにしよう。ポーチの中に手を突っこんで探す。コスメ同士が当たるカチャカチャという音を聞いていると、たくさんコスメを持っていて満たされるような、尽きることのないコスメ欲に支配されているような、そんな相反する気持ちになるせいか少し冷静になる。

キャンメイクのパウダーチークスは小さい。対するボビイブラウンのチークブラシは大きすぎて、ブラシ全体にチークをまんべんなく含ませるのが難しい。そんなに使用頻度が高くないのでメルカリに出品しようか何度か考えたものの、肌から浮かない落ち着いたこの赤を、なんだかんだ重宝してる。

チークを含ませたブラシを、ティッシュに垂直に当てて余分な粉を落としながらブラシの中に粉を含ませる。それから床と垂直にしたブラシの柄を指にトントンと当て、さらに余分な粉を落とす。念には念を。チークはメイクの中で一番苦手だ。黒目の真下・小鼻の横を中心に、うすーくうすーく少しずつ少しずつ重ねて、頬がやや色づいたか?と思ったところでやめる。左右で濃さと入っているところが微妙に違う気がする。エクセルの去年出た限定のルースパウダーで、チークをぼかすように上から優しくおさえる。本当はSUQQUのオイルリッチグロウルースパウダーか、コスメデコルテのフェイスパウダー♯80でツヤ感のある仕上がりにしたいけど、ないものを求めてもしょうがない。パウダーをのせ終えて、チークをきれいにぼかすことができたのか正直わからない。が、もういい次!

今度はエクセルのパウダーをURGRAMのアイシャドウブラシにたっぷり含ませ、下まぶたにのせていく。特に目尻側を念入りに。こうすることでアイライナーがにじみにくくなるのだ。どのアイライナーを使っても必ずにじむ私にとってこの工程は欠かせない。この裏技を知ってからちゃんと毎日アイラインを引くようになったのだから、知識は大事だ。

今日は目元をやわらかく仕上げたいので、ヴィセ リシェのヌーディリッチアイズ ピンクベージュと「指原シャドウ」と有名なCLIOのG10を使う。まずヌーディリッチアイズのベースをアイホール全体に指で広げる。奥二重ゆえアイシャドウが二重の溝にたまるのは宿命と思っていた私を救ってくれた神ベース。底が見えているのは愛の証だ。こんなにいい商品なのに、話題にもならずバズる前に廃盤になってしまったのが理解できない。2月にリニューアルしたヴィセのアイシャドウ今度買うね。ローラと滝沢カレンにそう誓ったところでミディアムカラーのピンクがかった絶妙なグレーブラウンを、二重幅より少し広めに指で広げる。そして黒目の上に指原シャドウをぽんぽんと。ラメは苦手だけどこのラメは別格。プラザでテスターを手の甲にのせた時「濡れツヤ感とはこのことか…!」と感動させてくれたことは忘れない。ありがとうさっしー。この濡れツヤラメが日本海を渡ってきたのはあなたのおかげです。昔はパレット全色使ってグラデーションつくってたけど、単色シャドウが流行ってるし、アイメイクはがんばらない方が今どきに仕上がると思う。

次はアイライン。インテグレートのアナ雪限定コラボのアイライナー グレージュで、上まぶたの目頭から目尻のまつ毛の間を埋めていく。「奥二重のアイラインは黒目の上から目尻まで」説をうのみにしていたのはほんの数ヶ月前まで。あれの根拠は一体なんなんだよと思い出す度に腹立たしくなる。

インテグレートの限定ライナーは色がやわらかくて目をふんわり大きく見せてくれるので、今一番お気に入りのアイライナーだ。キャップの先端がハート型になっているのもかわいい。絶対ないけどインテグレートの偉い人、もし見てたらこのアイライナー定番化してください!お願いします!

 

さて突然だがこんな私にも自慢できるものがある。まつ毛だ。

太い・長い・量が多いの三拍子そろった、われながら立派なまつ毛。まつ毛美容液を塗らなくても常時ふさふさのまつ毛。だから抜けて目に入ると死ぬほど痛いまつ毛。そのまつ毛をアイプチのフィットカーラーにはさむ。昔はアンニュイな感じにしたくてあえてビューラーは使わずにいたけど、まつ毛を上げると目に光が入って明るく見えると知ってから上げるようにしてる。びっくりした目にしたくないから、ガッツリ根元からではなく、中間寄りにずらした位置から毛先に向かって角度をつけていく。今日は透明感を出したいからヒロインメイクのブラウンマスカラにしよう。この頃カラーマスカラが好きだ(といってもこのブラウンマスカラとエクセルのプルーンしか持ってないけど)。まつ毛が光に当たった時、カラーマスカラの色がほんのり透けて見えるのがたまらなく好き。自分にしかわからないやつ。マスカラを塗ったまつ毛をコームでといて繊細になるよう仕上げている途中で気づく。下まぶたのメイク、また忘れるとこだった。

私には涙袋がない。でも偽造した涙袋はやりすぎ感満載で好きじゃない。だからアイシャドウを塗るだけ。それでも下まぶたがわざとらしくない程度にキラキラしているとやっぱりテンション上がる。ヴィセのクレヨンアイカラー ピンクベージュを目頭から目尻の手前まで滑らせる。さっき使ったヌーディーリッチアイズをもう一度取り出し、あの絶妙なミディアムカラーを黒目の外側から目尻までのせる。このパレットには下まぶた用のラメが入った白っぽい色も入っていて、こっちもいい。下まぶた用のコスメは色が白すぎたりラメが多すぎたり、私に言わせれば「やりすぎ」なものばかりだが、ヴィセは違う。ラメの大きさも量も色の明るさもいい具合に下まぶたと目を主張してくれて、でもやりすぎない。最高。大好き。いつもは下まつ毛にもマスカラを塗るけど、なんか今日はいいや。そういう日もあるよね。

アイメイクが終わった。この時点で時刻はAM8:00。

ここまでくればあとはこっちのもの。眉毛描こう。

眉毛を描くのは、昔は死ぬほど苦手だった。練習しようにも正解がわからないので、ペンシルで眉尻をちょちょっと整えてマスカラ塗って終了!で済ませてた時代もあった。雑誌や動画を見ながら描いてみてもなんか違う。アイブロウパウダーやブラシを買ってはみたものの、使いこなせず日に日に「宝の持ち腐れ」という言葉が頭に浮かぶようになった。そんな時出会ったのが&beのリキッドアイブロウ ダークブラウンだった。「ダークブラウン」と聞くとめちゃめちゃ濃い色のように思えるが、薄づきなので失敗しにくいし、眉の輪郭を取ってもクッキリした線にならないので元々の眉毛の形を詐欺れる。最高に使い勝手がいい。

目と眉を少しでも近づけるため、眉が生えているところの1mm下をリキッドでなぞる。どこか間延びして見えた顔が少し引き締まった。次にリキッドの反対についているワックスパウダーを眉全体にのせていく。眉頭はふんわり、黒目の上は一番濃く、眉尻は太くならないよう滑らせる程度で。仕上げはヴィセのアイブロウマスカラ。これも色はダークブラウン。眉毛を逆立てるようにアイブロウマスカラのブラシを当てて液を眉毛に絡ませる。WHOMEEのスクリューブラシで毛流れを整えつつ余分な液を取る。眉頭の毛を立たせてはいこれで大体顔が完成。

 

最後に欠かせないのがハイライト。ツヤ肌に近づくためメイクの最後に必ずハイライトをのせる。チークがピンク系なら「お金で買える透明感」と有名なSHISEIDOのインナーグロウチークパウダーのメドゥーサピンクを、チークがオレンジ・ベージュ系ならキャンメイクのクリームハイライター ルミナスベージュを。入れる場所は目の下三角ゾーン、Cゾーン、女神スポット。特に重要なのは目の下三角ゾーン。頬がふっくらして見えるし、ここにツヤがあると肌がキレイに見えるので一石二鳥。上唇の山の谷間にハイライトをのせると唇が立体的に見えると聞いて何度か試したものの、鼻を必ずかむこの時期、ただ乾燥が目立っただけに終わったのでもう試すことはないだろう。

キャンメイクのクリームハイライターは初めて買ったハイライトで、ものすごく気に入っている。自然に肌に馴染むし光に当たったときの反射もわざとらしくなく、肌を綺麗に見せてくれる。初心者にオススメだ。使い切ったコスメより、メルカリに出品したコスメの方が多い飽き症の私にしてはめずらしく底見えしている。そのぐらい気に入っている。と言いつつこれを使い切ったら次はTHREEのシマリンググローデュオにランクアップしようと密かに企んでいる。

SHISEIDOのメドゥーサピンクはとにかく試してほしい。感動する。重ねづけすると青光りして鯖っぽくなってしまうのでそこだけ注意だが、パウダーをのせているはずなのに肌が透けて見えるのだ。言葉で説明すると矛盾してしまうのがもどかしい。透明感が欲しい人、可憐で儚げな女の子になりたい人、とにかくSHISEIDOのカウンターにGO!!

と、ハイライトについて熱く語っておきながら「今日マスクするからどうせ見えねーし」と気乗りしなかったので眉毛描いた後フローフシの38℃リップトリートメント−2℃塗って終了でした。そんな毎日頑張れないって。

だって会社の鏡は血色悪く見える上に肌がやたら乾燥して見える鬼畜仕様なんだもん。ここまでのこの努力は会社の鏡の前に立った瞬間吹き飛ばされる。世界は残酷。

だから家を出る前、玄関の鏡に向かって微笑む。

 

大丈夫、今日もかわいいよ。

 

本当は誰かに言ってほしい言葉を心から自分に投げかける。

「行ってきます」の代わりに、鏡の中から私が笑いかけた。