昨日、生まれて初めてセットアップという物をZOZOTOWNで注文した。
しばらく会っていない知り合いから「久しぶり」と連絡がきた数週間前に話はさかのぼる。
「久しぶり！元気だよ。元気？」とお互いに近況を聞いた後、それはきた。
「△月×日空いてる？」
予定を聞いてくるということはまず間違いなくお誘いだ。何に誘うつもりなのか一切明かさずこちらの予定だけ抑えようとするこの文面を幾度となく見てきた。見る度嫌な予感しかしなかったし、その予感は今のところ9割以上の確率で的中している。今回もそうだった。
この誘われ方をする度に思う。その日時に何があるのか明かさない理由はなんなんだろう？なぜ最初からこちらの退路を塞ぐのか？こちらが「断りたい」と思う用事に誘っている自覚があるのか？一方的すぎると感じるのは人付き合いが悪い私の性格ゆえなのか？
この質問に答えるのは最早ギャンブルだ。それも負ける確率9割以上の別名「負け戦」。何も考えずに「空いてるよ」と言ってしまえば自分の行きたい・行きたくないにかかわらず付き合うハメになる。用心して「予定ある」と答えたら、自分が行きたいと思う用事であっても参加できなくなる。つまり、いくら考えたところで自分の望む未来は選択できない。こちらの予定は明かさずに「何で？」と聞くことは可能だが、聞いた後で「行きたいけど予定入っちゃってるわ〜」なんて見え見えの嘘をつく度胸は私にはない。
うわぁ、どうしよう…と思いつつ、そこに至るまでのレスポンスの速さから急に連絡が途絶えるのは不自然だ。「既読」の文字が速く速くと私を急き立てる。
相手のことは嫌いじゃない。一緒にお出かけとか買い物なら全然いい、行く行く、そうだといいな。そう思ってバカ正直に「空いてるよ」と返事したのが間違いだった。
「良かった！その日結婚式やるの！来てくれる？」
なぜだ、なぜ文末に「？」がついているんだ？もう答えなんかわかりきってるじゃないか。「直前の返事で『空いてるよ』と答えておきながら『行けない』と言っても受け入れるよ」という意味ならありがたい、でも絶対そうじゃない。この場面で「？」を使うなんて罪だ、こちらに委ねないでくれ。
ある映画で、未解決殺人事件の犯人と思われる人物の家に忍び込んだ主人公が、帰ってきた家の主に「お酒飲もうよ」と誘われて断れずにノコノコついていったら拷問部屋に連れ込まれた、なんてシーンがあった。拷問部屋に主人公を吊るした後殺人犯は言った。
「本能は『逃げろ』と言ってたろ？断ってればこんなことにならなかったのに。みんななぜか本能の声より、目の前の人間の機嫌を優先するんだ」
初めてこのセリフを聞いた時「あぁ、なんかわかるな」ぐらいにしか思わなかったが今なら首がもげて頭が吹っ飛ぶぐらい同意する。なんで嫌な予感無視したんだよ。
誤解されたくないので一応書いておくと、おめでたいとは思ってる。お祝いする気持ちはもちろんある。ただ問題なのは格好だ。よりによって前の記事に書いたばかりだ。こういう場に行く時にしなければならない格好が死ぬほど嫌いだ、と。ヒールの高い靴も大嫌いだ。ヘアアレンジなんて自分でできないので練習するか美容院に行かなければならない。そして会場にいる間はそれとなく、お上品におしとやかに振る舞わなければならない。現実では言えないがそれら全て「あほらしい」としか思えない。
人生にたらればはない。それでも考える。「予定あるんだよね」と返していればその日1日自分の好きなことに時間を使えたし大嫌いな華やかな格好もしなくて済んだ。普段は着ない嫌いなタイプの服もアクセサリーも買わずに済んだし高いとしか思えない会費も払わずに済んだ。帰りたくてたまらない気持ちを押し殺しながら笑顔を作る必要もなかったのに。はぁ、ガッデム。
無理矢理プラスに考えよう。今後、同じ相手から例の文面のお誘いがあっても何も考えずに断る決心がついた。同じ相手からだけじゃない、もう例の文面は全部断る。そんな誘い方、ババ抜きで相手の手札を見てからカードを引くに等しい。そんな人との付き合いなんかなくていい。にしたって今回のハズレはでかい、マジで。
ちなみに例の映画ではある女の子が主人公を助け出し、事なきを得て映画は終わる。その「ある女の子」というのが非常に重要で、マンガ・映画・小説のどの登場人物より「魅力的な女の子」なのだ、私にとって。
きっとそういう人物との出会いがあるんだろうな〜、わ〜〜、楽しみ〜〜〜〜〜。
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