今日バスの車内で私に「ジャマだよ！」と怒鳴った方へ
髪はすべて白髪、杖をついていた男性で、70〜80歳代と思われる、あなたです。
今日あなたはバスを降りる際、降車口付近に立っていた私に後ろから「ジャマだよ！」となかなか元気な声量で怒鳴りましたね。
確かに私が立っていた位置は、降りようとする方にとってはジャマな位置でしたし、車内がそれほど混雑していなかったことを考慮して別の場所に立っているべきでした。
車内が狭かったにしても、立ち位置を誤ったのは私の落ち度です。そのことについては申し訳ありませんでした。
ですが、いきなり怒鳴るほどのことでしょうか？
私はイヤホンをしていたので、もしかしたら怒鳴る前に何かおっしゃっていたのかもしれません。
ただ音楽を聴いておらず、イヤホンから音は出ていなかったので「何もおっしゃっていなかった」というのが私の認識です。
私は自分がジャマなところに立っていたと知り、あなたがすぐ通れるよう道を開けました。
あなたは道を開けた私の横にわざわざ立ち止まって、にらみましたね。
私もいきなり怒鳴られた上ににらまれて腹が立ったので、あなたをにらみ返しました。
ですが数秒にらんだ後で「あ、コレ相手にしても消耗するだけの、しょうもないやつだ」と気づき、やめました。
本当はバスを降りていくあなたの背中を思いっきり蹴りたかったのですが、やめました。
「頭にきたから」という理由ですぐ怒鳴ったり他人を傷つけたりするのは「大人として恥ずべき行為」と思っているからです。
私はあなたが降りたバス停の名前を覚えていますし、明日あなたが降りた時刻にそのバス停に立っていることもできます。
もちろんそんなことはしませんが、世の中には私のように些細なことを根に持つ粘着質な人間がいます。
「頭にきたから」と人を怒鳴ったり殴ったりする人間も、たくさんいます（これはあなたの方がよく理解できる道理でしょう）。
あなたに聞きたいことが二つあります。
一つ目は、私が体格のいい男性だったり、ヤンチャそうな若者だったとしても、同じように怒鳴りましたか？
人を見た目で判断するのは危険です。一見ひょろっとしていても、実は武術を習っている、なんて人もいます。
武術の経験がない小柄な女性であっても、本日お見受けした限り、相手があなたなら楽勝でしょう。
もちろん暴力行為は罪に問われます。
ですが、暴力を振るわれて障害が体に残ったり死んでしまったりした後で加害者が罪に問われても、被害者は暴力を受ける前の状態には戻りません。
二つ目は、年金を受け取っているのであれば、あなたが受け取っている年金は誰が負担しているのか、ご存じですか？
「24時間働けますか」というキャッチコピーが働き方の手本とされていた時代があり、その時代を生き抜いたというだけで素直に「すごいなぁ」と思います。
それでも、決して多いといえない私の収入の一部が、あなたのような人間の年金にあてられていると思うと、腸が煮えくり返ります。
誰の年金を負担するか選べる制度ができたら、きっと年金問題も少子高齢化問題も解決するんじゃないかな、なんてあなたが降りた後バスの車内で考えました。
もしそんな制度ができたら、あなたの年金を負担してくれる人は、何人いるんでしょうね。
きっとこの記事は、一番読んでほしい人の目にとまることはない。
残念だけど、しょうがない。パソコンとかスマホとか絶対使えないじーさんだったし。
「バスの車内で降りる人にとってジャマな位置と気づかず立っていたら怒鳴られにらまれた」
それだけのこと。
それだけのことなのに「若者から暴行され死亡」っていうニュースの画面に「どうか今日見た顔が映りますように」って本気で願っちゃうし、そのニュースが流れるところを想像するとうっすら笑みがこぼれる。
「相手にしても消耗するだけ」とわかっていても、どうにも腹が立って、文章を書いては消し書いては消しを繰り返し気持ちを整理するのに時間がかかって、そのことにもまた腹が立ってくる。
納得できないことを言われたこと、今思い出しても腹が立つぐらいの目に遭ったことなんて、今までにもあったしこれからも絶対ある。
その度にこんな気持ちになることを考えると「なめてかかってきたやつは3発ぐらいぶん殴っていい」って法律できないかな、なんて誰でも思いつきそうなことしか出てこない自分の想像力のなさに軽く絶望する。
もっとこう、ユニークな、聞いた人が思わず笑っちゃうことを考えられる大人になりたいのに。
報われろ、理不尽。
