幸せになりたいけど 頑張りたくない

実家暮らしアラサー女のブログ。「言語化能力を鍛えるため」という大義名分で更新されるが中身はくだらない。たまにコスメ・映画レビュー。

「凪のお暇 第6話」に見る、他人に興味を持てなかった理由

連続ドラマ「凪のお暇」を見るのが毎週の楽しみになっている。

「凪のお暇」はドラマ化する前から気になっていた。スマホでネットサーフィンをしているときに画面下に出てきたレンタルコミックの広告がきっかけだった。自分と歳の近い主人公・凪が、仕事も人間関係も何もかもリセットしたその後が、すごく気になったのだ。読もうか何度も迷ったが、マンガは完結してから一気に読みたい派の私は完結まで待つことにした。そしてマンガの完結を待たずしてドラマが始まった。

 

ドラマを見るまで自分は「空気を読まない」人間だと思っていた。言いたいことは誰が相手であっても堂々と言えると、そう思っていた。実際にそうしてきたつもりだった。

「バカにされた?」と思いながら何も言い返せず、話が変わったことにホッとする表情

同僚に見つからないようコソコソ隠れる姿

笑いのタイミングをはかる視線の動き

全然わかってない「わかる〜」のトーン 

凪と自分が重なる度、「空気を読まずに生きてきた自分」はただの「都合の良い思い込み」だったことを思い知った。そうして私はますます物語から目を離せなくなった。

先週の第6話では、今まさに私が悩んでいることに凪が直面した。

 

「アンタが人と会話を続けられないのは、他人に興味がないからよ」

「お前、自分に興味持ってくれるやつにしか興味ないじゃん」

 

凪がボーイとして働き始めたバーのママと、凪の元カレ・慎二のこの言葉は、画面を通して私にも突き刺さった。実は少し前から「自分が恋愛できないのも人間関係を築けないのも他人に興味がないから」だと気づいていた。そしてそれは問題なのか考えながら文章を打ったものの、結論が出ずぐちゃぐちゃのまま下書きに保存されている。

他人に興味がないことが問題になるかどうかは、その人が置かれている状況によると思う。恋人も友達もいらない、一人で生きていくのであれば、全然問題ないと思う。ただ、私や凪みたいに今の自分を認められず、なにか変える必要を感じている人間にとっては、大問題だ。人は人の力を借りなければ変われない。

じゃあどうしたら他人に興味を持てるのか?

それがずーーーっとわからなくて、この頃はもはや諦めの感があった。けどこのドラマが答えをくれた。「眼の前にいる他人」より「自分がどう見られているか」ばかり気にしていたから、他人に興味を持てなかったのだ。ちょっとカッコつけた言い方をすると「ベクトルが内側に向いている」のだ。会話をする相手は自分ではなく他人だ。

 

ドラマから話が逸れるが、ベクトルが内に向いているか外に向いているかで、他人の見え方がずいぶん変わるという体験をした。

とある事情から、普段は一緒に仕事をしない人たちと仕事をすることになった。その中のある人とは何度か仕事をしたことがあった。仮にAさんとしよう。Aさんは頭の回転が速く効率よく作業をする、一緒に仕事をするにはうってつけの人なのだが、自分が望んだ通りの作業を他人がしていないとわかるとキツーく責め立てるのだ。できるゆえに許せないのだろう、と思いつつも責め立てられたときは「わざわざそんな言い方しなくても」とカッときた。そんな印象があったので、Aさんを見た瞬間「ゲッ」と思った。しかし幸いなことに、自分が他人に興味を持てなかった理由がわかった後だったので「ベクトル外!ベクトル外!」と自分に言い聞かせながら笑顔で挨拶をした。

「ベクトル外!」を合言葉に仕事に取りかかった。わからないことは「こんなこと聞いたらバカだと思われるかも、怒られるかも」と思わずに聞き、進捗状況を自分から報告した。次の作業の説明を聞きながら、Aさんが伝えようとしていることと目的を考え、効率よくできるよう先を読み工夫した。そうして能動的に取り組んだ仕事は、格段におもしろく、達成感があった。

ベクトルを外側に向けた状態で接したAさんは、とても素敵な人だった。礼儀正しく説明が丁寧でわかりやすく、何かあったらすぐに共有し、全体を見て仕事を割りふりながら笑顔で話もふってくれる「パーフェクトな魅力あふれる大人」だった。

Aさんのおかげで予定より早く仕事を終えた帰り道の私は、傍から見ても浮かれていたと思う。心がウキウキはずんでいた。

今まで他人に興味を持つことを、どこかで「メリットがない」と判断していた気がする。確かに、他人が髪型を変えようが恋人と別れようが、私の生活に直接的な影響はない。でも能動的に接して、相手の人となりを会話から知ったり、生い立ちを想像したりするのは、すごくおもしろい。Googleの検索窓に興味があるワードを打ち込むよりずっとずっとおもしろい。「おもしろい」は私にとって「メリット」をはるかに超える大義だ。

 

他人に興味を持たずに生きてきた時間の方が長い私に、友達はいない。恋人もいない。

でも人生、これからじゃない?

変えられない過去よりも、今、これからの時間の方がずっと大事だ。「過去できなかった分を取り戻すため」ではなく「おもしろい」から、能動的に生きようと思う。友達ができなくても相変わらず恋人ができなくても、おもしろかったらそれでいいや。

 

ただドラマの感想を書くつもりが、自分が生きていく上で一番大事にしたいことがわかった気がする。そんなことあんの。来週も楽しみだな。