幸せになりたいけど 頑張りたくない

実家暮らしアラサー女のブログ。「言語化能力を鍛えるため」という大義名分で更新されるが中身はくだらない。たまにコスメ・映画レビュー。

DUNE/デューン 砂の惑星

「天才」と名高いアレハンドロ・ホドロフスキーが映画化を目指したものの挫折し、誰もが一度は通るデヴィッド・リンチが映画化するも「失敗」と先のホドロフスキーに笑われた伝説のSF小説、「DUNE/デューン 砂の惑星」(以下「DUNE」)。その「DUNE」が再び映画化されると聞いた時「おぉ、やっちまうのか、あのいわくつきの小説を…」と嫌な悪寒が走った。「立て続けに映画化に失敗している小説をなにもまた映画化することないのに」と余計なことを考えながら調べてみると、監督は傑作「ブレードランナー2049」のドゥニ・ヴィルヌーヴ。「絶対やめとけ失敗するぞ」が「あ、観に行こう」に変わったのは言うまでもない。

原作は長編SF小説。長編小説を元にした映画は原作を読んでいないとついていけなくなるので、原作を読んでから観に行きました。SFにもともと興味がない・なじみがない私は原作をあまり楽しめなかったけれど、おおまかなあらすじと人物相関、登場人物を頭に入れた状態で観れたので良かった。理解力に自身がない人は原作を読んでから観るのがおすすめ。

※以下少々ネタバレあり

 

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「DUNE」公式サイトから

 

 

IMAXで観た感想

実は公開してからわりとすぐ観に行って感想を書いていまして。この記事のほとんどはその時書いたものです。なんで感想のアップがこれだけ遅れたのかというと、IMAXで観てからの感想も書くべきだと思ったから。

通常の映画館で充分楽しめたので、正直もう一度観に行くつもりはなかった。それが「IMAXで観ることを前提に撮られた」とどこかで知って「じゃあIMAXで観ないとな」となった次第。そして今日やっと観てきてまず言いたいこと。

絶対IMAXで観た方がいい。

同じ映画なのに別の映画かってぐらい違う。具体的に何が違うかというと、

・画面の大きさ

・迫力、臨場感

・映像の美しさ

の3点。砂漠を上から写しているだけでうっとりするほど美しい。見惚れる。普通の映画館で観たときはあんな感動しなかったと思う。

IMAXは音響もすごいらしいけど、正直「音響すげぇ!」とはなりませんでした。音のことわかんないもんで…でも「迫力、臨場感」はその音響あってのことかも。サンドワームがやってきて地表の砂が揺れるとことか、前に観たはずなのに鳥肌が立ちました。この「前に観たはずなのに迫力と感動が違う」現象が観ている間ずーっと続いていました。宇宙船が爆発するシーンなんて「え、あの宇宙船こんなデカかったの!?こんなデカい宇宙船が爆破されてるの!?」ってちょっとしたパニックになったぐらい。画面の大きさが違うと映されるものの大きさも違って見えるんですね。

夜明けの太陽が昇るシーンも、ちゃんと「眩しっ!」てなりましたもん。夜明け前の暗さもすごくリアルで、これも普通の映画館で観た時は「リアルだなぁ」なんて思わなかった気がする。あんな迫力のある映像を2時間半もぶっ続けで浴びると、頭ぼーっとしてまともにもの考えられなくなります。大人になると大抵のことを経験して、大体のものを見てきたから、「初めて」とか「新鮮な体験」とか縁遠くなるんですけど、映像で脳をぶん殴られる経験ができて良かったです。IMAXで初めて観た映画が「DUNE」で良かった。今日観てきたばっかなのに、もう「また観たい」ってなってるもん。

そんなわけなので、

IMAXで観ましょう。

ちょっと高いけど、2時間半も未知の映像体験できるなら安いぐらいです。大画面でティモシー・シャラメの顔面を堪能できるだけでお釣りがじゃらじゃら返ってくるので、IMAXで観ましょう。

 

原作に忠実な映像

『DUNE』のあの世界を忠実に映像化してる…!」という驚きと感嘆で胸がいっぱいになりました。あらすじも原作に忠実だし、わりと序盤から「絶対変なことにはならない」という安心感が漂っていました。原作がある映画でこういう安心感があるの、すごい。

SFなので現実にはないものや実際にはありえない状況ばかり出てくるんですけど、それが映像化されていてすっごく楽しかったです。コンパスに「カッコイイ!」って感激したことあります?あの方角を示すコンパス。この映画見たら感激できますよ、コンパスに。出てくるものがいちいちスタイリッシュ。こういう現実にないものが出てくる映像がSF特有のおもしろさなんですかね。SFにハマる人の気持ちがわかる気がする。

そして現実にないはずのものでデザインがスタイリッシュなのに、「実際に存在していたら同じ構造でこういう風に動くんだろうな」という説得力がある。映画冒頭に出てくる、皇帝の使いが乗っている丸い宇宙船なんてデザインだけ見たら宇宙船に見えない。なのに、着陸するときにその丸いボディには似つかわしくないゴツい足が出てきた途端「遠い星から飛んできた宇宙船」としてリアルに映るんですよ。羽ばたき飛行機(オーニソプター)の羽も実際には見たことのない動き方をするんですけど、どことなく虫に似ているからかあの羽の動きで飛ぶのをおかしいと思わないんですよ。

光と影のコントラストが強かったのも良かったです。「2001年宇宙の旅」の映像が好きな人は「くぅ〜!」ってなると思う。私はなった。構図もいちいちカッコイイ。いちいちしびれる。「ブレードランナー2049」観た時も思ったけど、いちいち美しいのよ。好きです。

壮大で宗教的な雰囲気漂う音楽もぴったりでした。ラストも音楽で最高に気分を盛り上げたところで暗転するもんだから「続きが観たい!!今!すぐ!NOW!!!」ってなります。次回作が待ち切れないよぉ!

 

バトルシーンがかっこよすぎるのよ

宇宙の支配権を争う話なので、バトルシーンもちょいちょいあり。「あの世界をどう映像化しているんだろう?」が何より気になっていたので、正直バトルシーンの出来は気にしていなかったんですけど、これもまー良かった!「DUNE」の世界では「シールド」という体に薄いバリアを張り巡らせて戦うのですが、「そうそうコレ!こういうの想像してた!」という再現度の高さでものすごい興奮しました。シールドのスイッチを入れた時の音とか、攻撃された時のブレとか、全てが完璧。

一番スピード感があったのが主人公・ポールと家臣・ガーニイの鍛錬シーン。「自分たちがここまで鍛え上げた」という自負があるからこそ、相手の戦闘技術を信頼しているからこそのバトルスピードでもう最高!映画ならではの表現!

それを見せられてからのサーダカー対ダンカンのバトルシーンは、ポールとアトレイデス家家臣の強さをクッキリと浮き立たせていて「あれ?サーダカー弱くね?」と思うぐらい。サーダカー、一応「宇宙最強の兵士軍団」って設定ですけどね。1対大勢だから一気に攻めればいいのに、1対1になるように戦っている相手の後ろで待っている感じがしてちょっと気になったり…決してケチをつけたいわけじゃないんだけど、どうしても気になった…

※上のバトルシーンの感想は1回観た時のもの。2回目観た時はなぜか迫力あるように見えて、サーダカーもちゃんと強そうでした。これがIMAX効果…

SF映画のバトルシーンというと、光る剣をぶんぶん振り回したり、宇宙のエネルギーを集めて銃で発射したり、というのを思い浮かべがちだけど、この映画では体張ったバトルシーンばかりです。宇宙船で撃ち合うのもカッコイイけど、結局は拳の強さがものをいう泥臭さ、好き。「紅の豚」の飛行機の撃ち合いからのボロボロの殴り合いが好きな人は刺さると思う。家臣のガーニイが「俺に続け!」と部下たちに言うシーンなんて「私も続くぅ!」ってなったもん

 

小説から映画への変換

「普通は気付けない表情の動きや言い方から、相手の考えていることや言わんとしていることがわかる」という、ちょっとした特殊能力を持っている登場人物が複数いまして。原作だと「今の言い方は○○の意思表示だな」とかいちいち書いていて、くどいくらい説明的。原作では言葉で説明されている部分をどう映像化しているのかも楽しみでした。物語を理解するのに支障はない程度に、映画の展開を損なわないスピード感を保つようにカットされていて、「映画は映像だからセリフで説明しないでほしい」と思っている私は大歓喜でした。「あの時あの人はこう考えていて、だから今こうしているんだ!」みたいな説明的なセリフ、大嫌いなんですよ…「すごくわかりやすく説明されてる」感がすごくて「なんのために映画にしたんだろう…」って冷めちゃうんですよ…

力関係も非常にコンパクトな説明におさめられていて、すんなり話に入れました。アトレイデス家にアラキスが与えられた理由とか原作よりもわかりやすかった。原作でよく理解できなかった部分を手助けしてくれる親切な映画です。

原作が長いゆえ、どうしても仕方ないことなんですが。「映画を観ている」というより「原作を映像でなぞっている」感が強かったです。原作の大事なシーンを映像で再現してそれをつなげているというか。

登場人物も多く、映画の都合上展開が早かったのも「原作を映像でなぞっている」感が強かった要因の一つかと。長編映画の1部にして登場人物が何人か死ぬんですが、登場してから死ぬまでの時間が短く、原作読んでなかったら「なんかよくわかんないうちに死んじゃった」って感想になってたと思う。仕方ないんだけどね、登場人物全員にスポットライト当ててたら時間がいくらあっても足りないから。だから一部のキャラクターに絞っていたのはとても良かったと思います。アトレイデス家家臣の忠誠心とポールの能力も同時に表せていたし。

 

ステラン・クセ強いおじさんと宇宙の奇跡級の美男子

映画の前知識が「主演はティモシー・シャラメ」のみだったので、アトレイデス家の宿敵・ハルコンネン男爵がステラン・スカルスガルドだったのは嬉しい驚きでした。ステランが出ている映画は2作しか観たことないんですけど、高齢童貞おじさん、ド変態の殺人鬼というクセがありすぎる役ばかりなんですよね…でもそれがまた似合うという…ステラン・ハルコンネン男爵、いいと思います。途中、油まみれになってましたね。ああいうシーンになるとなぜか一緒に息を止めたくなる。

あとはなんといってもティモシー・シャラメの顔面の美しさ。SFに興味なかったり途中で話についていけなくなった人はティモシー・シャラメの顔面見てればいいと思う。あの顔面だけで心洗われる2時間半を過ごせるよ。