幸せになりたいけど 頑張りたくない

実家暮らしアラサー女のブログ。「言語化能力を鍛えるため」という大義名分で更新されるが中身はくだらない。たまにコスメ・映画レビュー。

涙の効能

他人から見たらなんてことないきっかけで泣きたくなることがある。

「泣きたいから」といってそこらへんでわーわー泣くわけにもいかないので、一旦こらえる。

実家を出る前は「一人暮らししたら家に帰って思いっきり泣けるんだろうな」と思っていた。そうやって人目をはばからず泣くことを、ちょっと楽しみにさえしていた。

実際に一人暮らしを始めてわかったのは、一人でいても思ったように泣けないということだった。泣きたいのをこらえて部屋に帰ってくると、なぜかすっと涙が引いていく。やらなければならない家事が常にあり、まずはそれを片付けるスイッチが自然に入った。そしてその深い根の部分には「自分が自分の生活を支えている状況で思いっきり泣いたら、それが土台から全て崩れてしまうんじゃないか」という恐怖があったように思う。理由はどうであれ、外ではもちろん実家でも一人きりの部屋でも、私は泣くことができなかった。

昨日久々に「泣きたい」と思った。同時に湧いた「どうせ帰っても思ったように泣けないだろうな」と諦め半分落胆半分の感情が冷静にさせてくれた。そして案の定、家に帰ってきても涙は出てきそうになかった。

風呂に入るために服を脱ぎながら泣こうと試みた。目はうるむものの、涙は落ちない。それならそれでいいのだが、こうやってうまく泣けないことが続くと、信じられないタイミングで涙が止まらなくなるのでこまめに出しておきたい。泣くために大げさな妄想を始めている自分に気づいてさらに泣きたくなったが、やはり涙は出ない。

「泣きたい」と思ったとき、本当はどうしたかったか、誰に何を言いたかったか、どうしてそういう感情になったのかを湯船の中で考えて、ようやく少し泣くことができた。泣きながら「悲」に近かった感情が「怒」へ変わっていくのも感じた。表に出すのが難しい感情でも、少しずつほどいていかないと雪だるま式に膨れていって、何が何だかわからなくなる。

結局泣いてもスッキリすることはなくて、録画しておいたホラー映画を観て寝た。こういう時は何を観ても真剣になれないので、苦手なホラーも観れるのだ。そうして目覚めた朝は、別にいつもと変わりない。