幸せになりたいけど 頑張りたくない

実家暮らしアラサー女のブログ。「言語化能力を鍛えるため」という大義名分で更新されるが中身はくだらない。たまにコスメ・映画レビュー。

キャロル(Carol)

※少々ネタバレを含みます

 

ルーニー・マーラが好きだ。大好きだ。

ドラゴン・タトゥーの女」を観て以来彼女の虜だ。

彼女が出演すると知って「her 世界でひとつの彼女」を観に劇場まで足を運んだ。映画は「ラブプラス乙」の一言で済むものだったが、やっぱり彼女はかわいかった。高いチケット代は映画にではなく、ボブカットにした彼女に払ったようなものだ。

 

さて今回動画配信サービスで観た「キャロル」も申し分なくかわいかった。

彼女が演じたテレーズという女の子はあまり表情豊かなタイプではない。にも関わらず、彼女がどんな気持ちでいるかは不思議と伝わってくる。恋人のリチャードといてもあまり楽しそうではなく、話をしながら頭の中では別のことを考えていることも、職場でかぶらなければいけないサンタの帽子を馬鹿げていると思っていることも、なんとなく伝わってくる。とても正直なのだ。

ルーニー・マーラの演技力が真価を発揮するのは、キャロルを見つめる時だ。顔全体に僅かな緊張が走り、目が輝きだす。キャロルが何を考えどんな気持ちでいるのか、見極めようとするかのように。

もうね、健気。かわいい。抱きしめたい。

けれど彼女は自虐的なセリフを口にする。

 

「自分の食べるものさえ自分で決められない」

「自分がどうしたいかもわからないのに、全てのことに“イエス”と答えてきた」

 

確かに他人を勘違いさせてしまうような場面もあるが、彼女は一度も嘘をつかなかった。恋人との欧州旅行をキャンセルしてキャロルと旅に出ると決めた時も、恋人に正直に話した。ごまかすこともできたのに、キャロルに対する気持ちまで話した。

彼女が自分にとって大事なこと・大事でないことを判断し選択できるのは、自分の心に正直に生きているからだ。周りの大事な人はもちろん、大事でない人に対しても誠実だ。媚びているというのとは違う。自分を大事にしている人は、周りにいる人も大事にできるのだ。

「人は理由もなく人に惹かれる」というセリフも出てくる。もちろんそれも正解だし、キャロルとテレーズが惹かれ合う理由を解明したいわけでもない。

だがキャロルがテレーズの生き方と態度に惹かれたのは間違いない。終盤、彼女が自分らしく生きると決意できたのはテレーズと出会ったからだ。

 

映画全体の構成もいい。キャロルとテレーズの再会から始まって、2人の出会いから別れ、それを経て見せられる再会シーンはこちらまで緊張する。キャロルの誘いを断ってパーティに参加している間、テレーズがキャロルのことを考えていたことも充分すぎるほど伝わってくる。

再会時のルーニー・マーラの表情もいい。少し怒っていて、それを隠しきれていない仏頂面は彼女の若さを引き出している。テレーズの心境は、再会できた嬉しさと何も言わずに連絡を絶たれたことへの怒りと、相反する感情が同居した複雑なものだったろう。何もなかったかのように感じさせるキャロルの大人の余裕に苛立っていたかもしれない。感情に流されかけたものの、選択を誤らなかったのはテレーズが自分の心に正直に生きているからだ。

 

テレーズは間違いなく魅力的な女の子だ。

ドラゴン・タトゥーの女」のリスベットもとんでもなく魅力的だ。好きなヒロインダントツのNo.1だ。

果たしてルーニー・マーラ以外の女優が演じても、ここまで魅力的なキャラクターになっただろうか?単にルックスが私好みという点もあるとは思う。だがルックスだけで演じる役全てが魅力的になるとは思えない。さすがにそこまで面喰いじゃない(と信じたい)。

綺麗でかわいい女優さんなんて山ほどいるが、彼女は別格だ。見ているだけで幸せな気持ちになる。恋してるみたいだ。